2024-8-22 木
SSF Explorer 第21回 8月22日OA
都心からおよそ1時間という場所にありながら、海、山や森など、自然に恵まれた環境の逗子・葉山。
そんな素晴らしい場所に住んでいながら、まだまだ知らない自然や場所が沢山あります。
SSFのSはSea 海、2番目のSはStars 星、そしてFは:Forest です。
今日は「池子の森のお話」キュレーターで池子の森自然環境調査会の山浦安曇さんにお話を伺いました。
池子の森の「蝶」の調査について。
・なぜチョウを調べているのか
チョウは、幼虫時代に決まった植物を食べて育つ。
たとえばアゲハはミカン科の植物の葉、モンシロチョウではアブラナ科の植物の葉、というように。チョウは地域の植相と密接な関係を持つ。
また、日陰を好むチョウ、日当たりのよい場所を好むチョウなど、生息環境によってもチョウの種類が異なる。
チョウを調べることによって、そのエリアの自然環境の変化を知ることができる。
・どうやって調べているのか
チョウの生息環境を知るために、チョウの種類だけでなく、いつどこでどのぐらいのチョウがいたのかをカウントしている。また、他の地域と比較するためにも、調査手法を統一する必要がある。環境省が全国規模で行っているモニタリング里地1000という事業があり、池子の森自然環境調査会では、その事業に登録して調査を行っている。継続してデータを積み重ねることで、池子の森の生態系や生物多様性の保全につなげている。
・池子の森には、何種類のチョウが確認されているのか
これまでのモニタリング調査では50種。
・その中でも、注目するチョウは?
よく知られているモンシロチョウやアゲハは、年に数回2~3回、発生を繰り返すが、中には、年に1回しか発生しない種もある。
特に夏の初め限定で見られるシジミチョウのなかまは、庭先ではなかなかお目にかかれないが、池子の森ではタイミングさえ合えば、観察することができる。
その中でも注目したいのが「ウラゴマダラシジミ」。
このチョウは、三浦半島で安定的に発生しているのは池子の森だけだと言われている。
・今、見られるチョウ
大型の黒いチョウを観察することができる。
クロアゲハ、モンキアゲハ、ジャコウアゲハ、カラスアゲハなど。どれも大きいので、見応えがあるし、観察もしやすい。
どれも日陰を好むので、谷戸の縁の暗いところを歩くと出会える。
・チョウを観察するときの注意
遠くへ飛んでいったとしても、追いかけないで大丈夫。チョウは同じところに戻ってくる習性があるのでその場でじっとしていればよい。
また、水たまりや泥がたまっている場所もおすすめ。チョウが水を飲んでいるところを観察できる。大型のチョウが集団で翅をバタバタさせながら、水を飲んでいる光景は息をのむ美しさ。
これからヒガンバナがさくお彼岸になると、これらの黒いチョウが蜜を求めて、ヒガンバナに蜜を吸いにくるが、その赤と黒の色のコントラストは見事。
チョウは1週間もたてば、チョウ相が入れ替わる。毎年記録をつけているので、どのチョウがいつ出現するのかがわかる。お目当てのチョウに会えたときの喜びは最高!
暑さが少し収まったら池子の森に蝶を探しに行ってみたいですね。