2025-6-6 金

SSF Explorer 第62回  6月6日(星空リビング)

「星空リビング」プラネタリウムプランナーかわいじゅんこ先生。

 

もうすぐでしょうかね、梅雨入りは。

梅雨入り宣言というがありますよね、気象庁の。それとは別に、「入梅」というのが暦にはあります。大体6月11日辺りだそうです。

これは、暦の「雑節」の一つです。雑節は、中国から伝わった暦に日本独自の自然や風習を表した物です。例えば、節分、彼岸、土用、八十八夜、二百十日などです。

24節気は元々中国から伝わっていますが、春分を0度として、太陽の通り道「黄経」を15度ずつに分けています。もちろん、雑節は24節気には入りませんが、入梅は、現在では黄経80度の時とされています。旧暦ではどうだったのか?というと、黄経75度の「芒種」の後の最初の壬(みずのえ)の日とされたそうです。陰陽五行では壬は「水の兄」とされ、水に縁がある日とされていたからだそうです。今年はというと新暦では6月11日で旧暦だと12日です。ほぼ同時!で、実は、旧暦には「出梅」というのもあったようです。こちらは、芒種の次「夏至」のあとの最初の壬の日だそうです。カレンダーを見てみると、6月21日の夏至の翌日が壬の日でしたので、22日が出梅となります。

最近の異常気象でなかなか旧暦も対応しづらい所だと思いますが、様子を見てみましょう。

入梅で食べる物とかあるのかな?と調べたところ「入梅いわし」「梅雨いわし」という呼び方があって、

梅雨の時期に水揚げされるいわしは脂がのって非常に良い状態になる、そうです。

千葉県の銚子では「入梅いわし祭り」なるイベントもあるそうですので、お好きな方はぜひ。銚子まで行くかどうかは別にして、いわし好きです!年中食べられるいわしも実は美味しい時期があって、魚屋さんに行くといつもより丸々しているいわしが並んでたりするんでしょうか?楽しみです!

そして梅雨の時期の星空、なかなか見え無いけれど実は、梅雨だなと言う星空なのです。

それは、北斗七星。この時期の8時くらいの北斗七星は水を蒔いているような角度になります。天から水をまかれたら、雨になるでしょう。この話、むかしむかしにプラネタリウムで聞いて、なるほど!と納得してしまったのです。

梅雨の晴れ間が夜も続いたら、北の空を見上げて見てください。北斗七星が水をまいてますから!

 

そして、もう一つの話題は、今、注目されている万博のイタリア館。そこまでしてそんなすごい物を持ってきてくれたんだ!という数々。その中でもやっぱり「アトラス」。

紀元2世紀の大理石彫刻「ファルネーゼ・アトラス」は、高さ約2メートル、重さ約2トン。これを運ぼうと考えたこともすごいし、やっちまったこともすごいと思います。

「ナポリ国立考古学博物館」から10日間かけて来たそうです。日本初公開。でも、行くかと言われてもどうでしょうか?もうすで人気館ですから予約も大変なようです。お金貯めてナポリに行こう、、、かな。

そのアトラスは、うしかい座とも言われています。

その神話をお話ししましょう。

アトラスは、ティタン神族とされています。その神々はオリンポスの十二神が登場する以前に世界を支配していた巨神たち。混沌(カオス)の中ガイア(地)が現れ、ウラノス(天)を生みます。そしてウラノスとの間にたくさんの神(ティタン神族)を生み、動物や植物を生みだしました。そして、オリンポスの神々との戦いが始まるのですが、こちらはいつ誕生したのか???実は、ギリシャ神話以前の神話を持っていた民族の時代があったのでは?という話もあります。そこで、戦いは10年を要します。長い戦いの末、オリュンポス神が勝つのです。そして負けたティタン神達は冥界に追いやられるのですが、人(?)が良く、力持ちのアトラスはこちらに残し、ずっと天を支える様に命じます。

ところが、そのずっとがもしかして・・・。という時がやってきます。それは、ヘルクレスが12の難行を突き進めていたときです。「ヘスペリデスの黄金の林檎の採取」という難行がありました。その黄金の林檎は100も首のあるドラゴンが守っていて、奪うことが難しい。そこには、アトラスの娘達がいるので、アトラスに頼んでみようと近づいたのです。そして、黄金の林檎が欲しいのでなんとか娘さん達にお願いして欲しいと。

人の良いアトラスは、それでは、自分がひとっ走り行ってくるから代わりにこの天をさささえていてくれと頼みます。ヘルクレスも力自慢ですから、快く引き受けます。そして、しばらくすると黄金の林檎を持って帰ってきたアトラス。天を担ぐヘルクレスを見て、あることを企みます。「俺が、コレを持って行ってやるよ。どこに行けばいいんだ?」ヘルクレスは、しまった、このままずっと担がせるつもりだ!!!そして、考えました。「わかった。その前に、チョット天の担ぎ方を教えて欲しいんだ。なかなか難しいよ。」すると、人の良いアトラスは、林檎を置いて、こうやるんだよと、天を担ぎ直します。するとヘルクレスは、してやったり、と林檎をもって行ってしまいました。なので、今でもアトラスが天を支えているのです。

そのお姿が、イタリア館で見られるというコトですね。