2021-8-25 水

山口蓬春記念館の副館長・笠理砂さん

葉山町一色にある山口蓬春記念館でただいま、 特別展「山口蓬春 美の履歴」開催中!山口蓬春記念館の副館長で上席学芸主任の笠理砂さんにお電話インタビューさせていただきました。

今年は 山口蓬春記念館にとっては 特別な年、没後50年、記念館開館30年。記念特別展が企画されていますが、今回は 第2期 発展 山口蓬春 美の履歴 から「日本画家・山口蓬春のルーツを探る」 について

               

大正7年、蓬春は東京美術学校西洋画科を退学し、日本画科に転科しました。この時初めて、雅号を「蓬春」とし、日本画家としての道を歩み始めます。 その頃、東京美術学校では美校生を育てるために、教育制度をつぎつぎに変革しており、優れた教員をスカウトしたり、日本画科の場合ですと、古美術品を数多く収集し、授業でこれを模写させるなどして、学生たちの技術を磨いてゆきました。 今回は、蓬春が日本画家を目指す最初の一歩とし、東京美術学校日本画科在籍中の、研鑽のしのばれる模写をはじめ、卒業年から昭和5年まで参加した「新興大和絵会」展発表作7点と、研鑽のしのばれる模写、そして蓬春自らが研究のために収集した古美術品も交えた約50点を一堂に会して展示しています。

特に 見どころは?

前期 《初夏の頃(佐保村の夏)》 大正13年 第4回新興大和絵会展 学生時代、蓬春は京都に移り住み、奈良や京都の風景・風物に取材した作品を描いていたのですが、その中から、奈良の佐保村に取材した《初夏の頃(佐保村の夏)》という屏風絵があります。二曲一隻の大きな画面に、モダンな洋装をした可憐な少女が、鳥かごのメジロを眺めている、という優しい雰囲気の絵で、夏なのですが暑さを忘れる清々しさを感じていただけます。(~8/30)

後期 《緑庭》昭和2年 第8回帝展 また後期(8/31から9/26)は、昭和2年に、第8回帝国美術院展覧会で特選となった《緑庭》という初期の代表作を展示します。京都の修学院離宮と苔寺に取材した実際の風景をバックに、平安時代の貴族が乗った「網代車」という、やまと絵特有のモティーフを配した雅な作品です。伝統的なやまと絵の画題を扱いつつ、それまでの日本画にはなかった、光の表現が金泥を用いて採り入れられています。

昭和28年に増築された、吉田五十八設計の画室と茶の間を常時公開しています。両方とも部屋の内部の写真を撮ることができますので、ご来館の記念にぜひどうぞ。

別館では 「新日本画の先駆者 蓬春モダニズム」が上映されています。葉山を愛していた蓬春の様子をうかがい知ることができます。

                

この時期の庭園の様子 熨斗蘭が満開です。 ノシランが満開です。ノシランは「熨斗蘭」と書くのですが、白い房状の花が庭のあちこちに咲いているので、お客様よりよくお尋ねされる花です。 それから別館前のお庭には、白い槿の花が咲いています。槿にしては高木ですので、二階の窓からよく見えます。

なお、秋に開催予定でした第58回葉山特別見学会は中止となりました。
感染症対策を万全に行った上で 開館時間は 9時~15時半まで(15時までに入場)

アクセスやお問合せ先、今後の予定など詳しくは HPコチラ

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